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皆さん覚えておいででしょうか。
奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、意識不明となった妊婦の高崎実香さん(当時32歳)が転送先探しが難航した末、死亡した問題。
記事の発表からは暫く経ってしまいましたが、
進展があったようです。

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070202k0000m040168000c.html

奈良妊婦死亡:転送先探し難航の末、立件は見送り

 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、意識不明となった妊婦の高崎実香さん(当時32歳)が転送先探しが難航した末、死亡した問題で、奈良県警は、業務上過失致死容疑での同病院医師らの立件を見送る方針を固めた。死因となった脳内出血と、担当医が診断した子癇(しかん)発作との判別は困難で、刑事責任を問えないと判断した。今月中に遺族に捜査の経緯を説明し、最終判断する。

 病院側は問題発覚直後の会見で、「脳内出血でなく、子癇発作の疑いとした点で判断ミスがあった」と発言。県警は任意で提出されたカルテなどを基に専門家約20人に意見を求めたが、脳内出血と子癇発作は、意識喪失やけいれんなどの症状が似ているため識別が困難との意見が大半を占めた。さらに、遺体が司法解剖されず、法医学的な証拠に乏しい点も捜査を難しくしたとみられる。

 高崎さんは昨年8月8日午前0時ごろ、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った。19病院に受け入れ不能とされた。結局、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に搬送され、男児を出産後、死亡した。【高瀬浩平】

毎日新聞 2007年2月2日 3時00分


まともな結果に落ち着いて安堵した反面、喜んでばかりもいられません。
毎日新聞WEB版でのこの記事以外には、私の知る限りでは
新聞でもテレビのニュースでも、WEB上でも、この結論に関する報道は、
全くと言っていいほど目にしていません。
この記事について知ったのはmixiのコミュニティのスレッドでのこと。
まさにmixi様様なのですが、
この扱いの小ささは一体何なのか、と。

そもそもこの件が(事件-crime-ではなくincident)大々的に報道され、
センセーショナルな扱いを受ける発端になったのは毎日新聞がスクープ的に取り扱ったためであるので、
その結末について毎日新聞が報道するのは義務であって良心的ですらないと言えますが、
引用したこの記事における内容の手のひらを返した様は厚顔無恥にも程があるというものです。
あれだけ日本国民を煽り立てておいて、
最善を尽くそうとした主治医を痛めつけておいて、
これまでの姿勢を180度転換したようなあっさりとした扱いでさらりと流そうとする。
マスコミのこの報道の姿勢は今に始まったわけではありませんけど、まだ懲りもせずに繰り返すのか、と、呆れてしまいます。
あまつさえ、この一連の騒動のせいで奈良南部からは産婦人科医が大きく撤退し、
お産のできる病院がほとんどなくなってしまったと言います。
これらは結局妊婦さんたちの産む機会を(機械じゃないよ)奪うことになってしまったわけで、
社会福祉的・公衆衛生的に言って大いなる妨害行為であるとさえ言えるのではないでしょうか。
昨今のマスコミの報道姿勢はすでに社会問題となりつつあると思います。

ただし、貴重な人命が失われたという事実自体は変わることはありません。
この問題を嚆矢として、これからの医療をもっと良いものにしていくには、
医療システムそのものを変え、より充実させていかなければならないのは言うまでもないことです。
その意味で医療者はこの件を重く受け止めなければいけないでしょう。
そして最も重く受け止めなければいけないのは行政であり政府です。
奈良県は県の医療体制を充実し、より整った施設と連絡体制と医師の確保を行い、
近隣諸府県との協力体制を確立しなければならないのです。
政府は医療費の削減のみに血道をあげている場合ではなく、この国の医療崩壊をせめて瀬戸際で食い止めなければならないはずなのです。

……てなことを、くだらない発言で揚げ足取られ続けてる厚労大臣と、
揚げ足取りばっかりしてる野党とに、考えて欲しいんだけどなあ。

■参考サイト■
・ある産婦人科医のひとりごと
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d6f6_3.html
・健康、病気なし、医者いらず
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-105.html
・勤務医 開業つれづれ日記
http://ameblo.jp/med/entry-10018873960.html
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マスコミには、がっかり
そうなんですよね。
はっきり言って、間違った報道をしておいて。
産科医の先生を個人攻撃しておいて。
結局、間違ったってわかっても、訂正記事を出すわけでもなく、ほとぼりが冷めるのを待つって。

やっぱ、マスコミは終わってますねー。

野党にも、もうちょっと頑張って欲しいですが。
Dr. I URL 2007/02/09(Fri)01:16:18 編集
Re:マスコミには、がっかり
>Dr.Iさん
マスコミが信用ならないのは今に始まったことでもありませんが、
それを鵜呑みにしてしまう人たちもいなくなりませんねえ。
記事捏造にTV番組の捏造に、
マスコミの醜態を示す事件は多いはずなのですが……。
そんなマスコミに対抗していくために、ブログの存在は大事ですね。
影ながら拝見&応援させていただきます。
【2007/02/10 02:03】
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